和歌山大学教育学部教育実践総合センター紀要 2
1993-03-31 発行
せせらぎの書
Books in the Running Brooks (Shakespeare)
天野 雅郎
教養・協働教育部門
フルテキストファイル
DOI[info:doi/]
About This Article
本文言語
日本語
開始ページ
1
終了ページ
11
キーワード(和)
川
藤
蛇
魔
箸
抄録(和)
どだい,このような前口上など不均合いにして不似合いな,この「せせらぎの書」の一席が読者の皆様に,その名のとおりシェイクスピアの『お気に召すまま』の一節を借りうけて,お届けいたそうと願うのは古代日本人の呪術的宇宙である。それを『古事記』や『万葉集』等に物語られた,いわゆる神と魔,あるいはカミとモノとの一体となった世界,すなわちタマ(霊・魂)の世界の神話的伝承群と言い換えてもよい。ここでは類似のものは類似のものを産み出す(Similia Similibus)という黄金律につらぬかれ,すべてのものが一から他へと,その無限の相互反射をくりかえしている。さながら眼前の細流(せせらぎ)が時により,ある時は植物へと,ある時は動物へと,そしてある時は人や神すらへと,その姿を変幻自在にすりかえていくかのように。とどまるところをしらない融即と変身のスペクタクルの一端を,ご笑覧いただければ幸いである。
著者版フラグ
出版者版
Other Article