和歌山大学教職大学院紀要 : 学校教育実践研究 5
2021-03-25 発行

重度肢体不自由児の表現活動に対するICT を用いた支援 : 先天性ミオパチー児の文字学習におけるタブレット型情報端末の利用

A Case Study of Using ICT to Support Expression for a Student with Severe Physical Disability: Use of a Tablet-type Device on reading and writing for a Child with Congenital Myopathy
上野山 優
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DOI[info:doi/]
本文言語
日本語
開始ページ
89
終了ページ
95
記事種別(和)
一般論文
キーワード(和)
ICT
肢体不自由児
先天性ミオパチー
表現活動
抄録(和)
先天性ミオパチーの重度肢体不自由児を対象として、学習活動にICT(タブレット型情報端末)を導入し、表現活動の困難を補うことで学習の主体性を高め、従来困難であった教科学習への適応を図った。対象児は四肢の運動が制限されていることや、気管切開による発話の困難等から、話すことや書くことが困難で、表現の経験不足により文字の読み書きの学習に遅れがみられた。そこで、タブレット型情報端末で文字を入力し、音声に変換して表現する学習活動に取り組んだ。ひらがなの清音のみで構成される単語課題と、濁音、半濁音を含んだ単語課題のそれぞれでICT 導入前後の正答数を比較したところ、どの課題においても導入後の正答数が有意に増加した。すなわちタブレット型情報端末の利用は本児の学習活動に効果的であったといえる。またICT の導入により表現能力が向上したことで、集団の学習活動に参加できるようになった。コミュニケーションにおいては、従来受け身のやりとりが多かったが、質問や要求の表出を自主的に行えるようになり主体性が向上した。
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