現在中学校数学における課題として、生徒の数学への関心・興味が低いことと論理的に理由付けて説明する力が不足していることが、国内外の調査から明らかになっている。この課題を解決するために、著者が開発したカード型学習教材「エトミー」を用いた授業実践を複数の中学校の協力を得て実施した。
本論文は、この教材を利用した授業実践の結果、複数の条件から必要なものを取捨選択して問題を解決する力や反例を用いて常に成り立たないことを説明する力の習得に一定の効果があることを示すと共に、授業後のアンケートの結果等から、教材を通して数学に対する関心・意欲の向上や数学的な思考力の獲得に有効であることを示唆するものである。