本研究では競泳選手の100m種目の前半重視型と後半重視型の2つのペース配分について、後者には「前半を楽に速く泳ぎなさい」という指示のもとで、高校生スイマーのペース配分とストローク数などが、競技レベルや泳法の違いによりどのように変化するかについて検証した。その結果、両群ではトータルタイム、血中乳酸値および心拍数において有意な変化はみられなかった。しかしながら前半重視型に対して後半重視型では、前半のタイムは有意に遅くなり、後半は有意に速くなるという変化がみられた。このことは前後半のストローク局面でのタイムにおいても同様の結果であった。さらにストローク数については、後半重視型の方が前後半ともに有意な減少が生じているという特徴がみられた。これらのことより、「前半を楽に速く泳ぎなさい」の指示に対して選手は前後半のスピードを意識するようになり、競技レベルや泳法の違いによりスピードの変化をストローク数でコントロールすることにも違いがある可能性が示唆された。