ふるさとを愛する個を育てたいと考え,地域にこだわり,地域と連携した教育を中心に社会科学習をすすめてきた。ふるさとに学ぶとは,地域に関わることから,教材への出合いを,その中から見出していくことであると考えている。つまり子どもたちが,自治体,大学,企業やNPO 等の様々な人と交流を通じて,豊かで多様な学習をできるようにし,社会的事象を考えるきっかけを作るということである。ふるさとである和歌山は,自然豊かであるということと比例して,様々な自然災害も多い地域である。そんなふるさとから防災を学ぶということは,自然災害から守る,つまり,何が必要とされているのかという気づきを与え,実践していくというきっかけを学習できるではないかという思いから,本実践を実施した。その結果,子どもたちは地域の課題はもちろん,地域のよさを学び,自分たちがまちづくりの主役であるという主人公意識を持った。また,地域の連携を効果的な場面で取り入れたカリキュラムを構成することで,多様な集団・組織の中でコミュニケーションや豊かな人間関係を築き,成長を果たしていく子,ふるさとに学ぶ子(個)を育むことができた。特に防災を取り上げた単元では,和歌山の防災の現状に大きな使命感をもち,学びを深めることができた。