現在、日本の農業は後継者不足や従事者の高齢化、また都市圏均衡を中心とした兼業農家の増加で、十分に農作業に時間を割ける従事者が減少している。このような問題に対して、農作業の機械化、環境に強い品種への改良、さらには新たな農薬や肥料の開発が進められてきた。一方、害虫除去や雑草の除去作業などの手作業は依然必要であり、十分農作業が軽減されているとは言えない。特に、温暖な地域の水田で劇的に増加しているスクミリンゴガイ(通称ジャンボタニシ)は、水田で頻繁に繁殖を繰り返し、幼苗を捕食することから、それを定期的に除去する作業が農業従事者にとって大きな負担となっており、現在稲作農家は多様な作業が求められている。著者らは、このような稲作における手作業を代替するための手法の一つとして、稲の育成初期に水田を巡回し育成環境を保全するロボットの研究開発を進めることとした。手始めに本論文では、水田を巡回させるロボット開発の見通しと問題点を整理し、また、ロボットに搭載するための映像センサの開発の一つとして、水田中の映像から、有害となるジャンボタニシの卵塊を検出した結果について報告する。