従来の観光振興の問題点のひとつとして、観光情報提供の方法がある。従来の観光情報提供は、市町村といった行政区域によって分断されたり、特定の潜在的観光者の興味に沿った観光対象の検索が難しかったりといった問題点を持っていた。和歌山大学観光学部が取り組んだ、オンリーワン研究『≪観光コンテンツ・リノベーション≫事業モデルの構築』では、この問題点を解決する試みとして、大学発の広域観光情報提供システムである実験サイト「和歌山観光情報」を構築し、公開することによって情報提供に取り組んだ。そして同時に、このシステムは、潜在的観光者の観光情報検索の状況を知るアクセス情報を蓄積することを可能としている。今回、公開を始めて1年間に蓄積されたアクセス情報を分析するとによって、潜在的観光者の観光情報検索についての知見を得ることができた。今後、このシステムを継続的に維持できれば、観光者、地域住民、観光事業者、そして大学それぞれに、有意義な情報を提供し続けることができる資産とすることができるだろう。