2011年に発生した東日本大震災以降,各地で津波を想定した避難訓練が継続実施されている.今後は東海・東南海・南海地震などの海溝型地震の発生が懸念されている中,紀伊半島の沿岸部を走るJRきのくに線においても,南海地震発生から津波到達までの時間が厳しい中で,高台などの避難場所に乗客を迅速に避難することが求められる.2009年から同線でも津波避難訓練を行っているが,「訓練」の機会だけで列車から避難方法を習得し,率先避難者になる乗客を大きく拡げていくことは厳しいと考えられる.そこで「防災と言わない防災」の視座のもと,地域資源を学びながら鉄道での避難方法をも学ぶプログラムとして「鉃學」を開発している.今回「鉃學」を高等学校の教育カリキュラムと連携して実施した.本稿では教育機関と連携した「鉃學」の取り組みの成果について述べるとともに,現時点での課題について整理をする.