和歌山市と和歌山大学の連携事業、まちかど土曜楽交において、小学生を対象にカニを用いて生き物観察の教育実践を行った。カニの特徴を簡単に紹介した上で、雌雄の区別法などのクイズを出題し、市内の干潟で採集した3種の生きたカニに触り観察させた。クイズの正答率には個人差があったものの、中には全て正答した児童もいた。さらに、児童の全員が生きたカニを触ることができたが、それは学習においてうまく興味を引くことができたことが一因であろう。学習の前後に児童が描いたカニの絵を比較したところ、眼や口などの外部形態や脚の数の正確性が増し理解が進んでいた。これらの結果および児童の自由記述の内容から、生きた生物を用いる事により、学習指導要領にある『自然への親しみを育む』ことと、『自然の事物・現象についての実感を伴った理解を図る』ことには成功したと云える。『観察により科学的思考能力の向上が図れた』かどうかの検証は今後の課題である。