本稿ではワダイの防災ジオツアー分析および和歌山大学観光学部学生へのアンケート調査から,ワダイの防災ジオツアーの取り組みの展開可能性と今後の課題について整理する.モニターツアーの分析からは,防災ジオツアーが多世代や家族内で防災について考えるきっかけとなる可能性が確認された.防災ジオツアーを継続的に実施していくためには,ツーリズムとしての価値を高めツアー単価を上げていくことや土産物販売などの波及効果から利益を得ることも必要である.また,防災ジオツアーが企画に関わった南紀熊野ジオパークガイドの次の活動や地域活動にも波及していることが明らかとなり,ツアー単体ではなく地域の防災活動の展開に寄与していることも確認できた.和歌山大学観光学部学生のアンケートからは,若い世代の参加が少ないといった課題に対して,観光を学ぶ学生視点の前向きな提案が集められた.