紀州東照宮の例祭である和歌祭は2022年に四百年式年大祭を迎える。この記念事業の一環として渡御行列の渡物である棒振り,獅子,童子が復興を遂げる。本論文では東照大権現を祀る東照宮の祭式である山王一実神道での渡御行列を概観した上で,和歌祭での復興芸能を中心に東照宮祭礼での渡物の構成とそれぞれの役割と歴史を明らかにした。また戦後,和歌祭のフェスティバル化による御旅所の喪失,またパレード化による諸芸能の喪失から平成での和歌祭保存会青年部(現実行委員会)による復興等,ここでとりあげた復興芸能が少子・高齢化等が進展するなかで,かつての和歌祭の担い手であった旧城下町民にどのような影響をあたえるかを論じている。