グローバル化が進む現在,日本で暮らす外国人が増えている。それに伴い,外国につながる子どもの数も増加し,多様化している。かれらのほとんどが親の事情で日本に来ており,そういった子どもたちへの教育支援の在り方が,日本の社会で大きな課題となっている。本稿では外国につながる子どもの現状を踏まえたうえで,和歌山大学で2020年に立ち上げた「外国につながる子どもへの教育支援プロジェクト」の活動を通して,外国につながる子どもたちに対して,日本語を支援し,同時に,アイデンティティ危機に陥らないように母語支援をする,というプロジェクトの活動の目的と内容について論じた。ひいては,それらの活動を通して,プロジェクトが,多文化共生の実現に,どのように対処してゆくべきかについて論じた。