学校提案に即し,発達の段階を視野に入れた『探究』の姿を設定し,その姿を引き出すためのしかけを構想した。本稿では,第5・6学年複式「海の資源を増やそう~ヒラメの飼育・放流~」と第5学年「わがまちの誇り和歌山城~和歌山城魅力発信プロジェクト~」の単元において,『探究』の姿を引き出すことができたのか,そのしかけが有効だったかを検証したことを述べる。第5・6学年複式の実践では,子どもの主体の姿を引き出すためには,子どもが「子どもが問題だと切実に感じる状況」や「行動せざるを得ない状況」を生み出す必要があるということが明らかになった。また,協働,活用,省察の姿を引き出すために地域の人材活用は有効な手段であるが,地域の人材活用法が極めて重要であることが明らかになった。第5学年の実践では,子どもの主体の姿を引き出すためには,子どもにとって学習材が身近なものであったり,学習をとおしてより身近なものになっていったりすることが必要であることが明らかになった。また,地域の外部人材の方との出会いやかかわりを意図的に設定して,子どものモチベーションを上げることも主体の姿を引き出すうえで効果的であることも明らかになった。また,学習材と繰り返しかかわる機会を設定することについても,子どもの主体,活用,協働の姿を引き出すために効果があったと考えているが,そのためには意図や目的を明確にした学習材とのかかわりや,かかわりをとおして得た知識や情報を子どもたちが共有する場面を効果的に設定することが必要であることも明らかになった。