体系化が不十分な防災教育では教科の果たす役割が重要であり、そのなかで中学校社会科地理的分野の果たすべき役割が大きい。この点を踏まえ、2015年検定の中学地理の教科書における自然災害や防災の記述内容を検討した結果、ハザードとしての自然現象の理解からハザードの作用前後での防災対策に至るまで充実した内容を備えているものの、生徒が当事者性を持って学習することが難しいことが明らかとなった。そして、この課題に対応すべく、ハザードマップなどの地図を携えて地域を歩くことと身近な人の災害経験を聞くことの重要性を指摘した。