社会科の学習は,人がよりよく生きるためのものだ。今回,その意味するところをさらに深めるために実践を続けた。社会科学習が子どもの生活の中から始まる。子どもの生活の中から始まった学習をどうみとるかによってその後の学習の展開には様々な方向へと進む可能性があることが分かった。しかし,社会科の単元の目標を考えれば安易に進んでいいわけではない。しっかりと単元の目標を意識しつつ一人ひとりの学習をつむいで目標へと向かっていく必要がある。このことは教師の側は当然意識してやらねばならないことであるが,子ども自身も意識する必要がある。「ひと・もの・こと」と出合って疑問が生じ,ひとり学習が始まるが自分だけの学習の中だけでは自己発生の自己完結に終わってしまう。他と交わっていないため学習そのものは薄いものとなる。そこに他者との関わりがあると,自分だけでない,他の子とともに創った学習課題が生まれる。学習課題に向かうとき,子どもたち一人ひとりに吟味する必要性が生まれ,よりよい学習へと向かうと考えた。
今回,水産業の学習と情報産業の学習では,「つむぐ」ことを意識して学習に取り組むことの大切さを知ることができた。一人ひとりが同じ土俵に立った上で一つのことに向かおうとする姿の中には予想もしない展開を巻き起こすこともあった。
ただ,本時の学習で「つむぐ」ことができたか?と問われれば疑問も残る。学習の展開と本時での「つむぎ」を指導者としてどう考えるのか…特に本時の「つむぎ」が難しいことを痛感した。