本研究では、不適応を起こさず学校生活を送っている自閉症スペクトラム障害(以下、ASD)のある子どもの主たる養育者へのインタビューからその養育について明らかにすることを目的とした。修正版グラウンデッド・セオリー・アプローチを用いてインタビューの分析を行い、「孤独でつらかった子育て」「サポートにならなかった専門家」「子育てを客観的に見ることから自分の子育てのスタイルを確立」「今までの子育てへの肯定的感情」「尽きない悩み・不安」「困ったときに自分から相談し、サポートを受ける力」の6カテゴリーグループが見いだされた。子どもの行動を待ったり、気持ちを十分に聴いたりする受容的な子育てスタイルや、つらい時に自分から他の人に主体的に相談する力、自分や子どもに関わってくれた人々に感謝する気持ちなどが養育をする上で重要と考察された。