本稿は,和歌山県西牟婁郡上富田町の朝来小学校・上富田中学校が1993年度に実施した教育調査(上富田教育調査)の分析を通して,「部落問題が提起する教育課題」の解決の到達状況と残された問題点を明らかにすることを目的とした。1993年度(第一年度)上富田教育調査は,小学校4~6年生,中学校1~3年生の全員を対象とし,「子ども・家族の状況」「子どもの学力」「子どもの生活・意識」にわたって調査された。本稿では,この調査結果のうち,「子ども・家族の状況」と「子ども・家族の状況別にみた子どもの学力実態」に限定して言及した。