本研究では、明治44 年(1911)に中学校体操科に武道教材が採用されて以降、大正初期頃からは、さらに小学校への導入が議論され始めるなかで、昭和14 年(1939)に小学校武道指導要目が制定されて小学校教材として位置づくまでの間、各地の小学校において試みられていった小学校柔道の教材化に向けた取り組みの内容と実施状況の実態的把握を行うことを目的とした。大正期以降、随意科目として柔道を実施していった実践校・研究校において柔道の指導内容・方法についての実践研究が行われ、小学校では講道館の「柔の形」を中心教材に位置づけながら、発展的に平易な技の学習に進んでいくというかたちで行われた。昭和に入ると「柔の形」にかわって「精力善用国民体育」に移行していくようになるが基本的な方針は維持され、実践研究を踏まえながら、講道館が中心となって小学校柔道の指導内容・方法が集約されていった。