道徳科の授業において自分の生活や自己の生き方に向き合うためには、教材の特徴による指導方法の工夫が鍵となるのではないかと考える。本稿では、令和元年から2 年間の小学校1 年生の11 の実践例により、教材の特徴による3 つの指導方法の有効性を取り上げる。一つ目は、登場人物に自我関与しやすい教材では、道徳的行為に関する体験的な学習を教材の話し合いや生活を振り返るときに入れること。二つ目は、日常生活を扱った教材では、教材を土台に問題解決的な学習の中に役割演技や動作化も取り入れ自分の生活と結び付けること。三つ目は、「生命の尊さ」や「個性の伸長」などの内容項目を扱う教材では、展開前段で教材を扱い、展開後段で道徳的行為に関する体験的な学習を入れることである。