本研究は、現職の小学校教師を対象に、これまでの教師教育に関する研究の成果をふまえた研修内容を仮説・実践し、それが研修後の教師行動と態度得点、ならびに学習集団機能を変容させうるのかどうかについて事例的に検討することを目的とした。その結果、1)態度測定の診断結果はいずれの学級とも「高いレベル・成功」の範疇であった。唯一、C 学級は女子の態度スコアがアンバランスであったが、「価値」尺度のスコアが男女とも向上した。2)学習集団テストの診断結果は、A 学級とC 学級いずれも男女共に「高い」と診断された。3)態度得点ならびに学習集団機能を向上させたC 教師の教師行動の変容を検討した結果、一問一答の単純に完結するやりとりから、「創意的発問」を駆使して、子どもの考えを探り深めていくやりとりへと変容していたことが認められた。これらのことから、教員研修においては、講義による知識の教示に加えて、授業動画の視聴等により、よい授業の姿をイメージ化させることで自らの授業を改善し、それを研修の場で再度検証するといった研修体制を構築できれば、教師の成長に資する効果的な研修になりうる可能性が高いものと考えられた。