本研究では、中学校の不登校傾向または不適応を示す生徒に対する校内のコーディネータによるASEBA(Achenbach System of Empirically Based Assessment) を活用したケース会議によって、教師の意識にどのような変容があったのかを検証することを目的とした。ケース会議前後に教師へ質問紙調査を行い、自由記述をKHcoder によるテキストマイニングの手法を用いて分析を行った。教師は生徒の非社会的行動に対して「現状への危機意識」「対応の迷いや葛藤」「支援体制の不全感」という課題意識を持っていた。ケース会議の前後で「自分」「学年」「難しい」それぞれの語について着目したところ、ASEBA を活用したケース会議を通して、「自分」に関しては「自信」や「対応の変化」に関する記述、「学年」に関しては「共通理解」や「大きな成果」につながったという記述、「難しい」に関しては「本人の特性」をふまえた難しさに注目する記述が見られた。ケース会議後には記述内容の質的な変化が認められ、ASEBA を用いたケース会議が教師の課題意識の改善に資するものであったと考えられた。