これまで別々に議論されていた,こどもの日常的活動と学習活動を統合的に認知心理学の立場から捉える視点を提供し,それらに関わり援助するあり方を問う。まず,こどもたちの「切れる」という現象を分析する。こどものすべてを受け入れるという受容論,だめなものはだめと教え込むという強制論の2つの対立する極論の難点を指摘し,こどもと向き合うとはどうすることかを考察する。また,「反復練習させればよい」「できればうれしい」「体験すれば学習」などの誤った学習観を批判し,それを支えてきた評価観を批判する。それらの考察を通して,自立を援助し,生きる力を育てる学習環境の構築とそのあり方について提言する。そして,育児・教育の本質とは何かという観点から考察する。