前言語期にある自閉症児に対し,クレープづくりルーティンを用い,ルーティンの流れや指導者からの働きかけの理解と要求伝達行為の表出の高次化をめざした指導を6ヶ月にわたって行った。場面のスクリプト化,構造分析によって基本的活動が抽出された。そのうち7の活動において対象児からの要求行動が出現するように場面が構成された。対象児の理解のレベルは7段階で,表出のレベルは6段階で評価された。対象児は,初期には文脈の理解が困難だったものの,援助によってルーティンヘの参加がスムースになり,終了時には言語指示の理解が可能になった。要求行動は,指導者からの働きかけを期待して待つことから徐々に高次化し,ジェスチャーや発声をともなったものへと変化していった。また,この過程は,理解の過程と関連していた。