本研究では、特別支援教育や障害者福祉における知的障害及び発達障害のある人のニーズに基づいた合理的配慮について検討する。ニーズ中心アプローチにおけるニーズの4類型(上野ら2008)を用いて考察した結果、承認ニーズ(本人顕在・第3者顕在)や要求ニーズ(本人顕在・第3者潜在)に基づく合理的配慮は、第3者にとって過重な負担がある、合理的ではない場合であっても、第3者の対応の改善及び両者の調整によって実施されることが望ましい。それにより、要求ニーズは、より現実的な承認ニーズに変化しうる。庇護ニーズ(本人潜在・第3者顕在)による第3 者の配慮は、承認ニーズに基づく合理的配慮に変えていくことが求められる。非認知ニーズ(本人潜在・第3者潜在)については、第3者が環境や状況の変化による本人の変化を理解することが必要である。さらに、学校教育に合理的配慮の考えや実践を導入していくためには、個別の教育支援計画に合理的配慮の事項を設け、実施していく取り組みが重要であると示唆した。