本研究では,調のある音楽での「旋律創作」にスポットを当てた。長音階による4小節の旋律を対象とする。5音音階による「わらべ歌」や「おはやし」づくりの実践は数多く見られるが, 7音音階による先行実践はきわめて少ない。実践に当たっては,まず楽曲の構造を「はじめ・なか・おわり」と捉える。次に「同型/同音」2種類の反復を同時に用いて旋律を開始する方法を用いる。これにより,音が「はじめ」から「なか•おわり」に向かってなめらかに滑り出し,音が音楽へと生まれ変わる瞬間をどの子どもも経験できるのではないか。歌詞による支えがなくても,ハ調の長音階によるまとまりのある旋律づくりに親しめると考える。「限定された中で自由に旋律をつくる楽しさ」「まとまりのある旋律づくりができるという実感」「音そのものが次の音を語りかける,その声に耳を傾ける楽しさ」を味わうなかで, 「思いや意図」の基の1つとなる反復の効果を意識化するのである。