本論文は,異文化コミュニケーションを取るという子どもたちにとって解決が少し難しい課題を与え,外国語活動の目標であるコミュニケーション能力の素地を充実させる質の高い学びを検証することが目的である。ゲームやチャンツ・歌などで楽しく英語の音声や表現に慣れ親しみ,買い物ごっこを行って1単元が終了するような外国語活動ではなく,子どもたちにとって異文化コミュニケーションを体験したり,準備したりする中で課題を解決していくことで質の高い学びを創り出すことが可能かを検証する。また,外国語活動における質の高い学びを支える条件も明らかにしていく。
コミュニケーション能力の素地を養うための3つの大きな柱として,「言語や文化への体験的な理解」,「積極的」にコミュニケーションを図ろうとする態度」, 「外国語の音声や基本的な表現の慣れ親しみ」が文科省より示された。以上の3つの柱を兼ね備え,学校研究提案が示している「自己」,「他者」,「対象」の3つの対話から考察することを採用した。
質の高い学びによってコミュニケーション能力の素地が築かれれば,誰もが異文化をもち,そのことに対して十分に敬意を払い,理解し合おうと積極的にコミュニケーションする子ども達に繋がっていくと考えられる。市民性を養わなければならない21世紀に生きる子ども達の必須要素である。