和歌山大学教育学部紀要. 教育科学 57
2007-02-28 発行

肢体不自由児の社会生活能力の発達と学校卒業後の進路

Development of Social Life Abilities on Students Belonging to a Special School for Physically Disabled Children, and Their Courses After Graduation During Recent Thirty Eight Years
田川 元康
石本 真佐子
フルテキストファイル
Self DOI [info:doi/]
本文言語
日本語
開始ページ
33
終了ページ
41
キーワード(和)
肢体不自由児
社会生活能力
進路
新版S・M社会生活能力検査
抄録(和)
特別支援学校(肢体不自由養護学校)における児童生徒の社会生活能力の実態変化について検査資料を基に検討した。1966年から2003年までの38年間に小学部1年生578人に実施した検査結果によると、1960年代は5歳水準だった社会生活能力は、70年代に4歳水準、80年代に3歳水準へと低下し、近年では1~2歳水準となり、検査不能の重症児の比率も高くなった。また1991年から2000年までの高等部卒業生について社会生活能力と進路選択との関係を分析した。卒業生の進路が企業就職から通所施設へと変化する中で社会生活能力に低下が見られ、SA平均は92年度の高等部入学者では7歳4ヶ月であったが96年には5歳7ヶ月となった。SA素点合計の平均を進路分類ごと比較したところ、就職者の得点が最も高く、職業訓練校、通所施設、在宅者の順で低下した。就職者と訓練校入学者の得点を社会生活能力検査の6領域で比較したところ、「身辺自立」「移動」「作業」の3領域で就職者の得点が有意に高かった。「意志交換」の得点差にも有意傾向が見られたが、「集団参加」と「自己統制」の得点には差がなかった。施設入所者は就職者よりSA平均が低かったが、訓練校入学者との間には差を認めなかった。
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