本研究では、学校体育における体の巧みさ(調整力)に焦点を当てた体つくり運動領域の実践の重要性とその有効性を検証するとともに、「体力」向上への有効性も合わせて検証することを目的とした。実践研究による結果、体の巧みさ(調整力)は、様々な運動や動きを円滑に行うための一能力であり、体つくり運動領域内で実践することにより、効果的に高められることが明らかとなった。さらに、動きの質を高めることにも有効であることが示された。本研究で着目した体の巧みさ(調整力)は、それのみを高めることで、「体力」を網羅的に向上させるものではなく、体の巧みさ(調整力)が向上していくことにより、様々な動きの質を高め、子どもの体のおかしさを改善していくものとみられる。そして、体のおかしさの改善は、結果的に「体力」の向上に作用していくものと考えられる。