スクールカウンセラーの導入などをはじめとして教育相談的諸活動の充実が要請されている。子ども達への援助は,当然ながら,できるだけ効果的効率的であることが望ましい。発達途上にある子どもにとっては,たとえ1年であってもとても大きな意味のある期間である。その期間における教師の子どもへの関わり方がその後の子どもの学校生活や人生に決定的な影響を与えかねないからである。ところが,従来の教育相談,とくに,カウンセリングは,長期にわたることが当たり前のようになってきているのではないだろうか。また,その効果についても,子ども達や保護者らの主訴に対してどれだけ応えられたのか,という厳しい点検がなされてきたかどうか疑問である。増加する学校不適応に対して,できるだけ短期で効果的効率的なアプローチが必要だと考える。本報告は,かかる問題意識のもとに行った事例報告である。ただし,勤務校での事例ではなく,またプライバシーの保護のため,一部修正が加えてある。