生徒達が文学作品を読み深めていくことを目標とする授業において,私たちは「パラディグマ」という言語学上の概念にヒントを得て発案した「未来予想」という方法が,授業を活性化し,同時に読む力をつけると考えた。「未来予想」とは,「顕在的な表現には潜在的な捨てられた表現が隠されている」(パラディグマ構造)という原理に基づき,生徒たちを,まだ表現の選択されていない状態におき,選択される可能性のある表現から,どの表現が選択されたかを予想させるということである。具体的な授業の方法は以下に詳しく述べるつもりであるが,実験授業を行った結果,事後の感想などにも表されているように,この方法は,生徒たちの興味や関心を引き,授業を活性化させるのに大いに役立つことがわかった。