米澤(2000)の議論を受けて,認知心理学の立場から,こどもの生きる力の本質は何かという議論を深める。まず,大人とこどもが真剣に向き合い,お互いを育てる子育て環境の構築を提案し,親子共生のあり方を提言する。更に,こどもたちにどんな力をつけるのかという観点から,学習環境の構築について提案する。学習の場に「閉じた学習」,「体験倒れの学習」の弊害を指摘し,ゆとりの教育の本質を踏まえて,学習の場を超える力を養うことの必要性を指摘する。生きる力とは,自らを振り返り,自らの位置づけを確認し,他者とのかかわりを通して,自らの活動の場を構築していく力であることを指摘する。