現在,盲・ろう・養護学校では,コンピュータの設置率など環境面の整備は進んでいるが,コンピュータを操作できる教員,指導できる教員の割合が他の学校種よりも低い。なかでも和歌山県は,盲・ろう・養護学校でコンピュータを指導できる教員が9.2%と,47都道府県中最も低く,専門研修の充実など対応が急がれる。しかし,盲・ろう・養護学校においてコンピュータやネットワークの活用は,児童生徒の障害によって生じる情報処理能力の偏りを補う手段として重要であり,効果的かつ特徴的な教育を展開することができる。また,(1)交流教育の充実,(2)施設や病院など特殊な環境にいる子どもの経験拡大,(3)福祉や医療との連携など,ネットワークの利用による独自の効果を期待できる分野が多い。その一方,障害児は対人関係での問題解決の力が弱く,ネットワーク環境の中で新たな問題を生じる危険もある。障害児への情報教育は,技能の養成に留まらず,情報化社会における個人の責任能力や参加態度を育てていくことが必要と考えられる。