平成14年度からの新学習指導要領の完全実施により,中学校「技術・家庭科」の内容が大幅に変更となった。これまで技術分野の1領域で選択履修であった「情報基礎」が,今回の改訂によって,「情報とコンピュータ」という実質,技術科の半分の領域を占めるまでに拡大され必修となったのである。「情報とコンピュータ」では,コンピュータの操作技能の習得をはじめ,ネットワーク上のエチケットや情報モラル,著作権等への理解も重要視されてきている。さらに,「情報とコンピュータ」で育成される技能は,他の教科や総合的な学習への応用が期待されている。しかし学校教育現場では情報環境整備が進んでいるにも関わらず,今回の技術分野の大幅改訂,つまり時間枠の拡大や授業内容・進行方法の裁量権の拡大等によって,カリキュラム作成に困惑している状況である。そこで,新指導要領完全実施に伴う「情報とコンピュータ」のカリキュラムを検討・作成し,実際に先行実践をすることで,現状の問題点や今後の望ましいカリキュラムのあり方を提案した。