この論文は,教育実習を「教育における理論と実践の関係」という観点を踏まえて論じているジョン・デューイの議論を紹介,検討し,その論が教育実習を実際に行っていく上で何を意味しているのか,また教育研究は実践とどのような関係を持ちながら進められるべきかという問題に何を示唆しているのか,ということについて考察したものである。デューイは,他の専門職の養成教育の発展の歴史を検討しながら,「専門職のための養成教育における実習的学習の場は,すぐさまその職の熟練者を作り出すのではなく,実際的スキルを個人として独自にマスターするのに必要な知的方法を身につけることを目指している」と分析し,教員養成教育においてもそうあるべきであることを論じ,それを実験室的観点として提案している。実習的学習において外的テクニックに第一の注目が置かれ,子どもの内的活動に注意を向けようとしない傾向が増長されることを心配している。