和歌山大学教育学部紀要. 教育科学 70
2020-02-04 発行

現在は社会参加しているが二次障害を併発した経験のある生徒への子育てに関する母親の心理的変容 : 母親のインタビュー調査を通して

Psychological Transformation of Mothers About Child-Rearing for Students Who Are Currently Participating in Society But Have Experienced Secondary Disabilities : Through Interviews With Mothers
奥野 伊寿美
フルテキストファイル
Self DOI [info:doi/]
本文言語
日本語
開始ページ
71
終了ページ
76
キーワード(和)
発達障害
軽度知的障害
二次障害
自尊感情
ソーシャルサポート
抄録(和)
現在は社会参加しているが、発達障害、軽度知的障害の二次障害により集団参加、情緒不安定で困難を抱えていた生徒の母親に対して、子育てに関する半構造化インタビューを通して、二次障害に陥った我が子に対する母親の心理的変容を仮説生成し、支援の在り方等考察することを目的とした。インタビュー内容を質的に分析した結果、51個の概念、18個のカテゴリーが生成され、これらを構成する8個のカテゴリーグループが生成された。「子育ての不安」や専門家からの否定など「マイナスのソーシャルサポート」が、母親の不安をさらに増幅させ、専門家との距離を置き相談しにくい状況にさせてしまうが、我が子を褒めてもらったり認めてもらったりする「プラスのソーシャルサポート」を得ながら母親は、専門家から「子どもへの告知」してもらったことをプラスと考え、「奮闘する子育て」をし、「子どもの成長で母親も安定」し、悩みながらも「将来の希望」をもって養育できるということが明らかにされた。しかし、「将来への不安」も常に感じていることが明らかにされた。保護者との連携には、子どもが褒められ、認められるような肯定的なサポートが重要であり、二次障害に陥り学校生活に困難を抱えていた生徒の母親の子育てに関する気持ちの変容過程から、子どもの成長が養育レジリエンスを高める可能性があることが示唆された。
著者版フラグ
出版者版