本稿では、大阪府泉南郡岬町立深日小学校を事例として、急激に児童数が減少する小規模校の児童の生活実態の把握とその改善に向けた取り組みを養護教諭の職務やそれにかかわる校内での諸活動を通して考察した。養護教諭の職務は多岐にわたり、日常の来室者対応に加えて健康診断や保健教育、保健組織活動など様々なものがある。しかし児童数851人以上の大規模校を除き、多くの場合養護教諭は一校に一人しかおらず、一人で様々な保健業務に当たらなければならない。平成23年度の調査によると大規模校の保健室来室者数は42.8人と報告されている。その結果、児童数が増えれば、それだけ来室者対応に多くの時間を割かなければならず、通常の保健業務と合わせると非常に多忙となる。また、生徒指導やケース会議といった個々の児童の案件にもかかわることもある。深日小学校の場合は1日の保健室来室者数は7.8人であるので比較的時間に余裕がある。こうした現状を踏まえて、時間を有効に活用した食育・保健教育の活動やたてわりそうじの企画・実施など、小規模校ならではの養護教諭としての取り組みについて紹介し、今後の課題についてまとめた。