本研究では、医療的ケア児の母親に対するインタビュー調査を通して、小学校就学先決定に至るまでの過程を明らかにし、その決定に影響を及ぼす要因について検討する。データの質的分析の結果、就学先決定に影響を及ぼす要因は、①就学前の集団生活経験、②母親の生活スタイルと学校生活スタイルの両立、③医療的ケア対策に焦点をおく学校と子の可能性を模索する母親とのギャップ、④母親が考える子が学校で教育を受ける意味・価値の優先順位、⑤母親の交渉するエネルギー、⑥共に子を育てようとしてくれる人の存在、⑦きょうだいの存在の7点であった。今後の実践に向けて、母子が離れられる就学前の集団生活経験の提供、医療的ケアの体制のみではなく、子の成長、子の笑顔のための提案がなされる就学相談の在り方が重要であると示唆した。