本稿は,数学的な思考力の育成を目指し,算数的表現力を重視した指導の実践例として5年生の「面積」を主に取り上げ,成果と課題について検討したものである。
5年生の算数では,数学的な思考力の育成を目指し「課題に対してしっかりとイメージをもつこと」「自分の考えを論理的に説明できること」「比較しながら考えること」を大切にすることにした。そのために,①学習課題を工夫すること② 4つの学びの場を設定すること③思考の過程を残すことを大切にし授業を行った。その結果,主体的な算数的活動を促し,数量や図形について思考を深め,算数のもつ不思議さやおもしろさに気づく姿が見られた。さらに,算数的活動を取り入れ自分の考えを説明させることで,他者の考えにふれ交流することもでき,学びの質の高まりも確認することができた。しかし,個人思考と集団思考に費やす時間のバランスや子どもたちを正確に見取り,どのくらいの難易度で, どのような学習課題を設定するかが課題として残った。