本稿は,生涯にわたって運動に親しむ資質や能力を育てることをめざし,仲間とかかわり合いを重視した指導の実践例として「器械運動のマット運動」を取り上げ,成果と課題について検討したものである。
4年生の体育でめざした「運動に親しむ『心と体』」とは,体を動かすことが楽しいと感じられたり,仲間のよさを認めたりできる「心」であり,健全に発達・成長し,運動技能や身体機能を高めていく「体」である。これらをめざすために,仲間の思いを聴き共有できる場を1時間の中に必ず設定し,児童の実態を考慮した学習内容と学習形態の検討を行った。また仲間と成長や満足感を共感できるよう,年間を通してなわとびに取り組んだ。
その結果,仲間に認められ,自己の成長を実惑したり,仲間と励まし合って活動したりする姿が多く見られた。しかし,技能面でのかかわり合いが少なさや,技能の高まりの不確実さが課題として残った。