本研究は、教科の知識・知能、教科固有の思考力・判断力・表現力、汎用的スキルを「教科する」学習によって獲得させることを市民的資質の育成につなげていくことをめざした社会科歴史教育のカリキュラム研究において、英国の歴史教科書SHP の検討を通して示唆を得ることを目的とする。SHP「移動と定住」に焦点をあて検討した結果、学習の終結部において学習してきたことを生かして私たちのもつ社会認識を振り返り、発信するという活動を可能にするものとして、単元全体をつらぬくストランドの設定と、教科の技能の丁寧な指導があることが明らかになった。