本研究では、小学校体育において、児童が「対象(教材)」、「他者」、「自己」との「かかわり」を経験することよって、生まれる学びについて検証した。ボールゲーム単元のゴール型ゲームにおいて、対象グループとした児童5名の行動や発言、対話の様子などを中心に文字に起こした。このデータを分析する中で、単元を通して大きな変化が見受けられる児童Mを抽出した。単元序盤、ゲームでの動き方がわからずに戸惑う様子が見られた児童Mが、教師や仲間からの指示・誘導により、ゲームでの動きを習得し、単元終盤には自分から仲間にゲームでの動き方を指示することができた。この児童の具体的な行動を、3つのカテゴリーに分類し、単元を通した変化過程を時系列に沿って検証した。これらの検証の結果、児童が学びを実現させる中で生じる「葛藤」や「まさつ」が明らかになり、これらが学びの実現につながる過程には、教師の学習課題に則した働きかけや仲間からの働きかけが大きく影響していることが明らかになった。