本研究では、個別の教育支援計画の作成状況及び、特別な配慮を必要とする児童生徒への「合理的配慮」に対する教員の意識について、和歌山県紀の川市で実施されたアンケート調査の結果を提示する。調査回答者60名のうち、個別の教育支援計画(和歌山県での通称「つなぎ愛シート」)を児童生徒の指導・支援に活用していると肯定的評価をした回答者は44人(73.3%)であった。児童生徒の保護者と懇談する際に計画を活用していると肯定的評価をした回答者は41人(68.3%)であった。さらに、障害者差別解消法の「合理的配慮」について「知っている」「どちらかというと知っている」とした回答者は46人(76.7%)であった。以上及び回答者による自由記述の内容を整理し総合的に考察したとき、小中学校において「合理的配慮」の記載項目がある個別の教育支援計画の作成は、教員にとって児童生徒の指導・支援、及び保護者との共通理解につながるという点において有効であり、さらなる発展の可能性が見出された。一方、教員に対する計画作成のサポートがその可能性を左右することも示唆された。