本研究では、小学校通常の学級における国語科で「学びのユニバーサルデザイン(UDL)」の3原則を用いた授業実践を通して、学年全体の児童及び特別な配慮を必要とする児童の自己効力感に対する効果の検証を行う。6年生通常の学級の児童108名を調査対象とし、「ペアトーク」を重視した国語科での授業実践の前後に「児童用教科(国語)特異的自己効力感尺度」(冨田・宇野2013)を用いてアンケート調査を実施した。その結果、6年生児童全体では授業実践の前後で自己効力感の平均値の相違は認められなかった。しかし、事前事後ともに「行動の積極性」と「能力の位置付け」のカテゴリー間では相関がみられた。また、男子の「能力の位置づけ」において、事前と事後の結果に有意差がみられた。さらに、特別な配慮を必要とする児童の自己効力感の標準化得点を授業実践の前後で比較したところ、7名中6名が事前より事後の方が上昇していた。以上の結果及び児童や担任の自由記述を参考に総合的に考察したところ、「ペアトーク」を導入したUDLの授業実践は、特別な配慮を必要とする児童も積極的に参加しやすい点で国語科に対する児童の自己効力感を向上させる可能性があると示唆された。